岡田彰布『頑固力』 (4) 補強について

 岡田さんの補強に対する明確な考え方が提示されています。「殺される選手がいるなら、その補強は正しくない」といいます(p.31)。

 補強は適材適所であるべきで、殺される選手がいないか、デメリットを徹底的に考えるべきだと岡田さんは指摘します。

 たとえば07年オフの阪神の浜中とオリックスの平野恵一の交換トレードは、当事者、両チームの双方に大きなメリットがあったと分析します。浜中については、長打力があるが故障がちで守備の不安もあるので、パリーグの「新しいチームで能力を発揮したほうがいい」のではないか、と考えました。平野については、関本、藤本、今岡の刺激になり、多くの組み合わせで戦えるし、内野と外野の両方ができるので、内野がいっぱいなら、ライトにまわすことができるのです(p.34)。打線に関しても不在だった2番を任せることができ、まさにいいとこずくめでした。

 FA宣言した新井選手の獲得も、シーツの抜けた一塁を守らせることにしており、3塁の今岡とはかち合いません。つまり死ぬ選手はいないわけです。

 このような効果的な補強が阪神躍進の原動力になったわけです。一方大型補強を敢行した巨人については、「補強によって殺された選手が何人かいたのでは」、だから「圧倒的な力のあるチームになったという印象は全く受けなかった」と言います。そのとおりですね。谷、清水、豊田なんて、持ち腐れになってしまいました。

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岡田彰布『頑固力』 (3)

 「野球は守り、野球は投手力」だと岡田監督は言い切ります。打撃は3割打てば一流とされます。1試合4打席立つとして、3打数1安打1四球で打率.333になります。これでも約7割が抑えられる勘定になる、「そう簡単に打てないのはわかっている」と岡田さんは指摘します。

 一方、守備率は9割は楽に越えられる、そこに投手力を加えて、負けない野球=勝つ野球を目指すべきだといいます。チーム打率3割を超えることは難しい、裏を返せば、投手は7割抑えられる、つまり打撃より計算できるということです。

 投手力に関しては、今までは各チームとも8回や9回を抑えられるクローザーは存在したが、7回を確実に任せられる抑えの投手がいなかった。だから7回、8回、9回をそれぞれ任せられる投手をそろえれば、7回までにリードすれば勝てるようになるわけです。そういうシステムが確立すれば、相手は6回までにリードしないといけないので攻撃に焦りが出てくる、という利点もでてくる、と岡田監督は指摘します(p.27)。

 そこで、05年は7・8回をジェフと藤川、9回を久保田に任せました。しかし9回を投げるクローザーは①三振が取れる、②より慎重に対処できる、という条件が必要なので、07年からは7・8回をジェフと久保田、9回を藤川に任せるパターンが確立したそうです。

 左右の中継ぎと9回を投げる抑えの切り札、という図式は80年代からみられましたが、1イニングずつ任せる方式は、確かにJFKが最初だと思います。JFKを確立した岡田監督の功績は大きいと言えるでしょう。

 おまけに、03年オフ、藤川が戦力外通告を受けるところだったと懐述しています(p.20)。しかし当時2軍監督だった岡田さんは、短いイニングなら速球が生きる、と藤川の特性を見抜いていたそうです。04年に監督に就任し、安藤―ジェフの前の7回を抑える投手として、スタミナのある久保田とともに藤川が候補になり、これがJFK誕生につながった、と振り返っています。

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岡田彰布『頑固力』 (2)

 岡田さんは、優勝できなかった責任はすべて自分にある、とした上で、歴史的V逸の要因について語っています。

 貧打、先発投手陣の崩壊、リリーフ陣の不調など、「一度狂った歯車を元に戻すことができず、負の要素が一気に襲いかかってきた」と振り返ります。

 最も大きな要因は「北京五輪で主力の藤川、矢野、新井貴浩が抜けた」(p.18)ことだと言います。それは「初めからわかっていたこと。その期間は残った者がカバーする。そう決めていたことだし、オレはひと言もそれを言い訳の材料にしてない」と承知したうえで、次のように振り返ります。

 「新井に至っては、帰国後に骨折が判明し、五輪後も試合に復帰することができなかった。五輪前にわざわざ試合を休ませてコンディションを整えさせ、阪神からトレーナーまで特別に帯同させたというのに…。一体、何が起きていたのか。阪神のSDでもある星野仙一さんに説明を聞かせてもらい、しっかりと検証ができれば、チームにとっても今後の参考になると思う。」(p.18~19)

 ずいぶん控え目に発言されていますが、要するに、何故骨折するまで無理をさせたのか、あるいは骨折を黙認して無理させたのか、さらに私なりに推測すると、ひょっとして五輪前にすでに骨折してたのに招集したのではないか、ということを岡田さんは本当は問いたいのだと思います。

 しかし監督がそこまで言ってしまうと星野SDとの関係だけでなく、新井の選手生命まで傷つきかけないので、浅く、しかもやわらかく指摘されているのでしょう。

 誰もが思っている疑問を勇気をもって読者に示した岡田さんに感謝したいと思います。

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岡田彰布『頑固力』 (1)

 岡田彰布前監督の『頑固力 ブレないリーダー哲学』(角川SSC新書、2008年11月)を読みました。監督辞任のいきさつだけでなく、作戦や選手育成など指揮官として必要な心得、自らの生い立ちとタイガースへの愛、阪神タイガースの特殊性と問題点、日本プロ野球への提言など、内容は多岐にわたります。

 岡田さんは言葉が少ないため、何かと誤解されることが多かったり、戦術がシンプルなのであまり野球がわかってないんじゃないか、などと言われることがありますが、本書を読むと、岡田さんの野球への洞察や愛情を知ることができます。

 阪神ファンのみならず、すべての野球ファンへお薦めします。

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池山隆寛『ブンブン丸の「野村野球」伝道』(4)

 広沢選手の印象的な言葉を池山さんは紹介しています。91年の春季西都キャンプで夜のミーティングの時、野村監督の講義の傍ら、コーチやベテラン選手が「いまのヤクルトには何が必要だと思うか」ということについて、みんなの前で話をすることがあったそうです。

 その際、広沢さんは「ピッチャーも一生懸命投げているんだと思うけど、簡単にホームランを打たれてしまう。そうすると、野手としては、何してるんだという気持ちになってしまう」と言ってから、池山さんに「なあ、イケ」「お前もそういう気持ちにならないか」と問いました(p.103)。

 それに対して池山さんは「ぼくも同じです。まして自分がホームランを打ってリードしたのに逆転されてしまうと、何してんねん、ピッチャーは、という気持ちがすごく強くなってしまいます」と答えました。

 すると広沢選手は「でも、それじゃいけないんじゃないか。ピッチャーが打たれようが、バッターが打てなかろうが、勝利を目指し、みんなで頑張らなくっちゃいけないって、おれは考えを改めたんだ」と言ったそうです(p.104)。

 私はこの文章を読んで真っ先に阪神の下柳投手を思い出しました。彼は自軍の野手がエラーをした時にブチ切れます。下柳選手の本当の心理状態はわかりませんが、周りからみて彼の行動は間違いなく野手への不満をぶちまけているようにみえます。そんなことをされたら野手は「下柳さんが投げているから絶対にエラーはできない」とガチガチになってしまいます。さらにエラーをした野手が打席に入った時は「さっきのエラーを取り返さなきゃいけない」とますます固くなってしまいます。

 投手は野手がエラーしたときこそ抑えてやる、抑えてもらったら今度は野手がバットで返す、これが「チームワーク」ではないでしょうか。勝利を目指して野手と投手が一致団結する、下柳選手の行為によってこのような気持ちが壊されているのではないでしょうか。

 話を戻しますが、野村ヤクルトはこのような選手間の強い結束があったので、常勝チームになったのではないでしょうか。

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池山隆寛『ブンブン丸の「野村野球」伝道』(3)

 伊藤智仁投手が1試合16奪三振のセリーグタイ記録を達成したとき(93年6月9日対巨人戦)、新記録がかかっていたことを試合後に知った野村監督が「記録を狙えるチャンスなどそうない。なぜもっと早く教えないんだ。知っていれば狙わせたのに」と怒ったそうです(p.133)。

 チームの勝利が最優先なのはもちろんのことですが、負けゲームなどでは選手の個人記録などを狙わせる采配を野村監督はとります。勝負に対して厳しい野村監督ですが、選手への情も深い監督なのです。

 選手の大記録についての野村監督の考えにつては、自著『野村の「眼」』の109~111ページにおいて、2007年日本シリーズ最終第5戦で、8回まで完全試合ペースの中日の山井投手を落合監督が降板させた出来事を考察されています。

 「リーダーの役割には、実戦のなかで「何を残すか」というテーマがある」といい、孫の代までも語り継がれるような大記録を残してやるのも監督の大切な仕事であると指摘されています(『野村の「眼」』p.110)。

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池山隆寛『ブンブン丸の「野村野球」伝道』(2)

 1992年日本シリーズ第7戦の広沢選手のスライディングに関するエピソードを池山さんは紹介されています。

 1992年のヤクルト対西武の日本シリーズは史上最高の試合だったと評価する方が多いですが、ここ30年ほどプロ野球を観察している私から見ても、その評価は間違いないでしょう。

 3勝3敗で迎えた第7戦、1対1の7回裏、1アウト満塁で打者は代打の杉浦亨さんでした。杉浦さんのセカンドゴロで3塁走者の広沢さんが本塁でアウトになり、勝ち越しを逃しました。試合は延長10回2対1で西武が勝ちました。

 この走塁は、セカンドの辻発彦さんの本塁送球が高くそれたけど、足から素直にスライディングした広沢選手を、捕手の伊東さんがうまくブロックしアウトにした、と池山さんは振り返っています(p.117)。手からスライデングして回り込んでベースにタッチすれば、セーフになっていたのです。

 結果的にこの1点が勝敗を分けたことになります。一つのプレーが天国と地獄を分けてしまうことを忘れないようするため、野村監督は翌93年の春季キャンプ初日の最初に、本塁へのスライディングをしたそうです。具体的な練習を通じて選手に意識づけしたわけです。

  一つ一つのプレーの積み重ねを重視する野村監督の姿勢が実り、93年はセリーグ連覇、西武を破って日本一になりました。さすが野村監督です。

 さて、この走塁について野村監督は自著『野村の「眼」』の150ページで、辻選手が難しい体勢でホームに送球したが、広沢選手が本塁で「悠々アウトになってしまった」と振り返っています。スタートが遅れてアウトになってしまったそうです。その理由を広沢選手に問うと「ライナーに気をつけてゴロになるのを確認してからスタートした」と答えました。

 そこで野村監督は、「時にはギャンブル覚悟で打球が飛んだのと同時にスタートしなければならないこともある」として、「ギャンブルスタート」という新戦略を編み出したそうです。

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池山隆寛『ブンブン丸の「野村野球」伝道』(1)

 池山隆寛『ブンブン丸の「野村野球」伝道 -わが球歴40年史-』(小学館文庫、2006年)を読みました。タイトル通り、池山さんの野球人生が綴られています。

 最終章では現役引退までの心境や、家族や周囲とのやり取りが記されています。読んでいるこちらも胸が詰まりました。喫茶店で読んでいたのですが、涙を流してしまいました。

 本書のエピソードから、池山さんはかなり「熱い男」であることがわかります。東京ドームで行われたある試合後のミーティングで、ロッカールームが細長いためモニターを見ることができずに後ろで話をしていた小早川と副島に対して、あるコーチが副島に向って、「おまえはなんで画面を見ないんだ。小早川はいずれ引退しなきゃいけないが、おまえはまだわかいんだから、モニターをちゃんと見てなきゃ駄目だろ」(p.169)と部屋全体に聞こえるような声で注意したそうです。

 この年に選手会長をしていた池山さんはこの発言に激怒し、「ぼくはもう、ようチームをまとめられません」といい、腰痛がひどいということにして二軍に行かせてほしい、とトレーナーに頼んで、一軍登録を抹消してもらったそうです(p.170~171)。

 この行動については、大人げない、責任放棄と非難されるかもしれないが、「人間として許せなかった」と池山さんはいいます。私は池山さんの気持ちが強く理解できます。

 また、相手投手の牽制で刺されたランナーに対して、その選手が目の前にいるのに「あんなもんに引っかかるやつはうちにはいない」とベンチで皮肉を言ったコーチがいたそうです。このやり取りについては、「単に皮肉るだけの発言はチームの雰囲気を壊し、選手のやる気をそいでしまう」(p.193)と池山選手は指摘します。この出来事のあと、何試合かベンチ内で声を出すのをやめたそうです。

 他人を傷つける言動を平気でやる人を許せない、まったく同感です。こういう行動をとる池山さんに私は親近感を持ちます。

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日本シリーズ 巨人対西武の第7戦

 2008年日本シリーズの第7戦をテレビで観戦しました。8回表に西武が逆転し3対2で巨人を下しました。

 8回表に巨人が同点に追いつかれました。死球で出塁した片岡が初球に盗塁しました。シリーズ前に渡辺監督が越智投手について「スキがないわけではない」と言っていたそうですが、そのスキを見事につきました。スキとは「クイックができない」ことだと推察します。片岡レベルの俊足になると、クイックができなければ致命傷になるわけです。

 そして同点に追い付いた後、2アウト走者なしで、警戒して中村を四球で歩かせたのはいいのですが、次打者・野田を打ち取らなければなりません。その野田を四球で歩かせてしまたのですから、この場面は迷わず投手交代でしょう。

 しかし次の打者は右の平尾です。左の山口を投入するわけにはいきません。右投手と言えば豊田でしょうが、信頼が置けなかったのです。私なら2アウトなのでクルーン投入もいいかなと思いましたが、イニング途中のピンチでのクルーンはやはり危険だと考えたのでしょう。

 結局、リリーフ陣が不安だから越智君を続投させざるを得なかったのです。また、ひょとしたら原監督は延長戦を考慮して続投させたのかもしれませんが、ここで勝ち越されたら負けなのだし、もし延長になっても上原などを投入すれば済む話です。私なら1点もやれない場面なので、クルーンか上原で勝負に出る場面だと考えます。リリーフ陣の不安プラス原監督の采配ミスが招いた逆転劇だったのです。

 越智君は平尾に0-3にしてしまったから2-3の時点で投球と同時にランナーがスタートするのでシングルヒットで勝ち越される場面になってしまいました。また試合後のインタビューで平尾は「0-3からスライダーでストライクを取ってきたので、2-3からは間違いなくスライダーが来ると思っていた」と言っていたように、完全に読まれていました。解説の堀内恒夫さんが「フォークボールで勝負する投手はカウントが悪くなるとフォークが使えないので不利が大きい」と指摘していましたが、勝負球の選択に際しても0-3にしてしまったことが残念でなりません。

 一方の西武は序盤から石井、涌井などの好投手を投入し、8回裏からは抑えの切り札の左投手を2イニング登板させました。日本シリーズの経験豊富な渡辺監督の投手起用が光った日本シリーズ第7戦になりました。

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野村克也『野村の「眼」』(2)  落合博満監督について

 野村監督は中日の落合監督について興味深いことを書いています。日本シリーズで完全試合ペースの山井を交代させた件です。

 チームの勝利を優先させた采配であり当然の策であるという声が多い中、野村監督は反対しています。孫の代まで語り継がれる「誰も成し遂げたことのない大記録」(p.110)を残すのもリーダーの重要な役割だといいます。

 さらに「山井を交代させた落合の心理」を分析しています(p.111)。スポットの当たる立場にずっといたいスター選手であった落合さんが、「功を譲れない」「監督になっても常に自分が真ん中にいたい」、「他人と違う、オレらしいやり方というのを常に見せたい」心理が働いて「オレ流」の交代劇となったのでは、と野村監督は推測しています。

 そういえば、投手交代のとき、落合監督はマウンドに登ります。選手交代を主審に告げるだけでは物足りないのでしょうか。あるいは、降板させる投手とコミュニケーションをはかることが監督の重要な仕事なのだと考えてのことなのでしょうか。いずれにせよ、「視線を自分に向けたい」心理が働いているのかもしれません。

 落合監督っておもしろいですね。ぼくは大好きです。

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野村克也『野村の「眼」』(1) 日本ハムの監督交代

 野村克也著『野村の「眼」 弱者の戦い』(KKベストセラーズ)を読みました。この著書で、私が最も印象に残ったところは、日本ハムが2007年の日本シリーズの直前で監督交代を発表したことに対する野村監督の見解です。

 シーズンの優勝争いの最中に、ヒルマン監督が退任し、日本シリーズに向けた練習期間中に渡米し、大リーグロイヤルズ監督就任会見を行いました。

 これに対して野村監督は、①日本の野球がなめられている、②選手の士気が低下する、③日本ハム球団の対応も悪すぎる、と指摘しています。

 まず、①については、逆の立場を考え、もし大リーグの球団監督が同じ状況で来期からの日本プロ野球監督就任を発表でもしたら、アメリカのファンとメディアは袋叩きにするだろう、と野村監督は述べています。全く同感です。

 ②については、「この人は今年一杯で辞めていく人だ」と思ったら、選手はそのもとで懸命にプレーする気にはならないだろう(p.114)と述べています。日本シリーズを見ていて間違いなく選手の士気は低下していたそうです。

 これは極端なたとえ話ですが、高校野球で地方大会を優勝して甲子園に向けて準備している最中に、甲子園後の秋季大会から別の強豪校で指揮をとることになりました、なんて発表したら、選手がついてくるわけがありませんよね。理屈は同じだと思います。

 さらに③ですが、日本シリーズ直前に後任の梨田監督、何人かのコーチの契約打ち切りを発表しました。日本シリーズまで働かせて首を切られるコーチの気持ちを考えたのでしょうか。②③が「本来、互角の実力を持つ組織が激突する短期決戦」(p.115)である日本シリーズを敗北に導いた要因であると野村監督は指摘します。

 私は日ハムのファンではありませんが、一連の発表が極めて不愉快に感じたことを記憶しています。誰もが感じていた違和感を、野村監督が本著で堂々と指摘されているのです。

 さすが野村監督です。この前の星野仙一前五輪監督の「火中の栗」発言に対する批判もしてくださいました。確固たる野球観、人間観、社会観を持っているので、ズバッと指摘できるのですね。これからも他の人が言いにくい正論をファンに伝えてほしいと思います。

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野村克也「エースの品格」(3) 広沢について

 野村監督は、ヤクルト時代の主力選手についても話しています。広沢選手(現阪神コーチ)は「自己管理ができているせいか、故障が少ない。不調のときには誰よりも早く球場入りして練習に励んでいた」といいます(p.82)。

 テレビなどで拝見すると広沢さんは豪快そうな人に見えますが、現役時代は陰でしっかり努力していたんですね。

 1992年、阪神との熾烈な首位争いを展開しているときも、四番打者として勝負強い打撃をしていました。10月6日、仲田幸司と岡林洋一が投げ合った試合で、バックスクリーンへの決勝本塁打が強く印象に残っています。

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星野ジャパン 敗因の分析

 星野JAPANの惨敗の原因は、単純に言って星野監督の投手起用にあります。皆さんもご指摘の通り、準決勝の7回裏、なぜ調子の悪い岩瀬を起用したか、私にも納得ができません。負けたら終わりなのですから、抑える可能性が最も高い投手を登板させるべきでした。普通に考えたらあの場面はダルビッシュでしょう。

 先発は杉内でした。球速、制球、球の切れとも申し分ありませんでした。絶対に負けられない準決勝の先発が杉内、これは大正解でしたが、私は、杉内降板のタイミングがやや早かったと感じました。早めに交代したのなら、やはり7回、8回くらいはダルビッシュをつぎ込むべきだったと考えます。

 「あそこで岩瀬を登板させるのはオレのやり方だ」と星野監督は帰国後語ったそうですが、この発言に星野采配最大の弱点が潜んでいます。調子の悪かった岩瀬を登板させて、自分の手で立ち直らせてやる、というような星野監督一流の考え方、男気が働いたのでしょう。

 しかし準決勝は負けたら終わりなのです。そのような自分の「野球観」のようなものを、負けられない決戦に持ち込んではならないのです。ペナントレースでやるべきことなのです。絶不調の上原を代表に選出する際も、「オレが立ち直らせてやる」という発言がありましたが、五輪に「オレが、オレが」を持ち込まないでほしい。ドライに人選し、采配をふるわなければならないのです。野村克也監督流に言わせるならば、「野球の私物化」なのです。

 これは別の言葉で表現すれば、スポーツ新聞でも書かれていたように、非情になれなかったのです。つまり、調子の悪い選手を切り捨てることができなかったのです。投手出身の監督であるためか、投手起用に温情が目立ちます。どうやら星野監督の選手起用と戦術を見ていると、「あいつならやってくれる」という淡い期待に根拠を置いていたように思えます。

 非情になりきれない弱点は、すでに2003年の日本シリーズの先発投手に表れていました。阪神の●●○○○で迎えた第6戦に、ペナントレース中盤から絶不調に陥っていた伊良部を先発させました。「今シーズンはこいつがいたから優勝できたんだ、日本シリーズもペナントレースと同様の戦い方をする」といい、伊良部で玉砕したのです。結果はソフトバンクの4勝3敗に終わりました。どうやらトーナメントと同じような姿勢で短期決戦に望むような癖があるようにも思えます。

 結局、好不調、経験、相手関係などすべてを考慮に入れて最善な投手起用を、最後の最後のところでできなかったということです。2対2の同点で7回からダルビッシュをつぎ込んでもし勝っていたら、仲良し首脳陣の件も打線の不調も、何もかも吹っ飛んで「名監督」になっていたのです。トーナメントでは、ちょっとした失敗で負けてしまうのです。

 またこの機会に言いたいのは、王・長嶋・星野といった「大御所」クラスに対しては普段指摘をしにくい雰囲気があるので、今回のような敗戦を契機に、国際戦にむけた準備や、代表監督に必要な条件、短期決戦での戦法など、広く徹底的に議論したほうがよいということです。星野監督は批判の声を謙虚に受け止め、今後の野球人生に生かしてほしいと思います。

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野村克也「エースの品格」(2) 全日本チーム監督

 野村監督は「全日本チームの監督候補に、なぜ私の名前が一度もあがらないのか」、「実際に就任するしないは別として、候補に名前くらいあがってもよさそうなものではないか」と疑問を呈します(p.196)。

 本来、国際試合の日本代表監督は、実績を考慮して人選されるべきなのに、人気や話題性を優先させていると野村監督は指摘します。メディア全盛時代において、選手のプレーに一喜一憂し、選手と同じレベルではしゃぎ回る監督のほうが「テレビ的にはおいしい」のではないか、と人気優先の背景を説明しています(p.197)。

 私は、この野村監督の指摘は正しいと思います。星野仙一監督は、実績よりもむしろメディア的にぴったりだから監督に選ばれた側面が非常に強いと言えます。野村監督も指摘するように、星野監督は3度リーグ優勝していますが、残念ながら一度も日本一になっていないのです。3度負けることができる日本シリーズでさえ優勝できていないのです。ましてや、1度も負けられない決勝トーナメントで勝てる可能性が高いかといえば、これは未知数であると言えるでしょう。

 「国民の期待を一身に背負う立場の人間が、派手なガッツポーズもしない無愛想な男では、士気が高まらないというのかもしれない」というように、この人のためなら…と思わせるような人望のある人を選ばざるを得ないという背景も確かにあると思います。男気のある星野監督を私も大好きです。

 しかし、今回の北京五輪での敗北(4位)という結果を見て、日本の野球ファンの誰もが思ったに違いありません。「やっぱり勝負事は勝たなければならない」と。負けたら惨めなのです。やはり、「よさそうな人」ではなく、冷静に、「実績のある、勝利に導く可能性が最も高い人」を選出すべきなのです。

 野村監督は、「私にも全日本チームを預かり、勝たせるだけの自信があるということだけは知っていおいていただきたい」(p.197)と、ちらっと色気を出しているようにみえますが、野村監督が主張したい要点は、代表監督を選考する基準なのです。繰り返しになりますが、人気や話題性ではなく実績重視で選考すべきなのです。

 長島監督が病気で倒れて代行の中畑清さんが指揮をとって敗れた(3位)アテネ五輪での監督選考についても、長嶋茂雄という、日本野球界の「錦の御旗」の威光の前に、誰も反論することができませんでした。病気という不測の事態であるとはいえ、ペナントレースというリーグ戦での監督経験ですら持っていない人を代役に選出するなんて、本来ありえない、いや、あってはいけないことだったのです。この事例も、代表監督選考に際して実績以外の要素が重視された悪い先例なのです。

 来年3月に開催されるWBC日本代表監督が、たとえばの話ですが、古田敦也さんのような人気は抜群だが経験実績が不十分な人に決まるとしたら、2回連続での五輪惨敗の教訓は全く生かされない、ということになるでしょう。

 野村監督には、1年でも長く指揮をとってほしいと希望していますが、もしも今期限りで勇退されるようなことになったら、野村監督に代表監督に就任してほしいと私は望んでいます。(時間的に無理かもしれませんが。)

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頑張れ星野仙一監督

 いよいよ北京五輪が始まります。星野監督の采配に期待します。昨年のアジア予選、岩瀬の続投、1アウト満塁からの同点スクイズは見事な采配でした。

 ただ、選手起用において「非情」になれるかどうかが心配です。上原や新井など、本調子とはいえない選手が多いので、調子の悪い選手と「心中」ではなく、最も調子の良い選手を起用して欲しいと思います。

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頑張れ杉内俊哉投手

 北京五輪の大事な試合は杉内投手に任せるべきだと私は思います。杉内投手は五輪投手陣の中で、現在、最も安定した投球ができるからです。

 杉内投手の最も素晴らしいところは、外角低めに、直球とスライダー、チェンジアップをきっちり投げ込むことができる点にあります。しかも、それぞれの球種を外角低めで、ストライクとボールの出し入れができるのです。ここまでできる投手は日本の五輪投手陣には他にいないと思います。

 上原投手や岩瀬投手など救援投手に不安を抱えている今回の五輪で、特に先発投手の踏ん張りが期待されるところです。杉内投手にはその中心として大活躍して欲しいです。

 

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頑張れ川上憲伸投手

 北京五輪で大活躍して欲しい投手です。私が川上投手の最も好きなところは、直球のコントロールとスローカーブです。五輪予選で投げた右打者への内角低めの直球は見事でした。

 ここ1、2年、川上投手が簡単に打ち崩される場面を目にすることが多くなった気がします。特にホームランをよく打たれています。これはカットボールに依存しすぎているのが原因ではないかと私はみています。

 カットボールは打者の手元で小さく鋭く変化するので打者を打ち取りやすいのですが、反面、コントロールがつきにくいので、プロレベルなら打ち返されてしまうのです。さらにカットボールを多投しすぎて緩急がなくなっています。

 オリンピックでは直球のコントロールとスローカーブを軸に、カットボールとシュート、ホークを組み合わせた投球を期待します。

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野村克也「エースの品格」(1)

 野村克也「エースの品格 一流と二流の違いとは」(2008年、小学館)を読みました。「まえがき」で野村監督は、「野球とは、団体競技なのだ」と言っています。

 野球という競技の本質は「団体競技である」ことにあるというのです。「そんな当たり前の言葉には、野球というスポーツに対する私の確固たる信念」すなわち「チームとしての勝利を目指して戦うという、基本的な考え方」が込められているのです(p.3)。

 「人はみな、自己愛に満ちて生きている」(p.6)ものなので、個人成績や個人の感情を優先してプレーする選手が多いのです。アマチュア野球でいえば、何であいつを使って俺を使わないのか、なんでうちの子じゃないの、とか、あいつのせいで状況が悪くなる、というように、みんなのため、チームの勝利に選手の気持ちが向かわないのです。

 次の人のために、みんなのために、チームの勝利のために。この気持ちが選手全員に浸透すれば勝てるチームになる。この点を野村監督は「野球は団体競技である」というシンプルな言葉で表現されている、と私は考えます。 

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落合博満「コーチング」(1)

 落合博満「コーチング 言葉と信念の魔術(ダイヤモンド社、2001年)を読みました。「オレ流」で知られる落合監督の考え方のつまった本です。

 まず、横浜ベイスターズで臨時コーチをしていたときのエピソードが紹介されています。多村仁選手に2時間で1000回素振りさせました。落合さんは「見ているだけ」です。多村選手のスイングは、次第に「一番楽をして振れるフォーム」(p.23)になっていきました。

 楽なスイングとは「余分な力が入っていない」ということです。落合さんは、余分な力が入っていないスイングを、最初から手取り足取り教えるのではなく、選手自身につかませているのです。

 「見ているだけ」は遠回りかもしれませんが、選手が「自分で育つ」指導法なのです。あれこれ教えたい欲求を我慢するのも大切なようです。 

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ダブルスティール

 野村克也監督が仕掛けたダブルスティールを見ました。5月4日のロッテ対楽天戦、6対1でリードした8回表の楽天の攻撃。敵失と死球でもらった2アウト1・3塁のチャンスで野村監督がダブルスティールを試みました。

 結果は、捕手からの送球をセカンドがすばやくカットし本塁へ返球し失敗に終わりました。そのときNHKに、首をかしげてぼやく野村監督の姿が映しだされました。不満の原因は3塁走者の代走・牧田のスタートにあったと思われます。

 そもそも1・3塁からのダブルスチールは、捕手の送球がピッチャーカットされずに投手の頭上を越えたときに3塁走者がスタートすると考えられていますが、それではほとんど本塁アウトとなってしまうのです。

 そこで野村監督は、ボールが捕手から離れた瞬間に3塁走者がスタートを切る「ギャンブルダブルスティール」を提唱しています。普段から繰り返し練習していたはずです。ところが、ライト方向からのカメラ映像で確認できましたが、3塁走者のスタートが明らかに遅れていました。ギャンブルスタートが切れてなかったのです。

 スタートの遅れに対して野村監督はぼやいていたのでしょう。あるいは指示が徹底できていなかった自分を責めていたのかもしれません。試合後の記者会見は行われなかったそうです。

 この「ギャンブルダブルスタート」の深い意義については、野村監督の自著『野村の考え』(小学館)のp18~19に詳しく書かれていますので参照してみてください。失敗はしましたが、やはり野村野球は見ていて楽しいですね。

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松井秀喜『不動心』(3)

 松井選手の考え方はとても柔軟です。大抵のことは「こうでなければならない」と決め付けない。「絶対に…」とか、「…が必要だ」と思わないようにしているそうです。

 「…でなければならない」と力むと、実現できないときの落胆が大きく、ストレスで息が詰まってしまうので、肝心なこと以外は「まあ、いいんじゃないの」くらいの気持ちで臨みます。

 さらに、自分でコントロールできることとできないことを分けて考え、「コントロールできないものに気を病むのではなく、できることを精一杯やろう」(p.78)と心がけているそうです。

 「自分の力でどうにもならないものについてはあれこれ考えません」(p.169)、「自分がいまやれることは、どんな状況であろうと自分の力を100%出すことだけ」(p.170)、と言います。

 私などは「絶対…でなければならない」とか「…であるべきだ」、「絶対に許せない」というような言葉が口癖になっています。どうにもならないものにパワーを費やしているような気がします。松井選手を見習い、自分のできることに集中したいと思います。

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松井秀喜『不動心』(2)

 松井選手が感情を表に出さない理由が語られています。

 「僕は感情を口や顔に出すと、その感情に負けてしまいます」(p.65)。言葉として口に出すと、憎しみが倍増し、気持ちがエスカレートする。悔しさを露わにすれば、自分の心が乱れる。だから「乱れる可能性のある行動を慎もうと考えています」(p.68)と語ります。

 心が乱れると修正が難しく、次も失敗する可能性があるので、安易に口に出さないよう心がけているそうです。

 過去よりも未来をコントロールすることを考えるプロ意識が貫かれているといえます。イチロー選手にしろ、松井選手にしろ、一流はやはり何か違いますね。

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松井秀喜『不動心』(1)

 松井秀喜『不動心』(新潮新書)を読みました。松井選手の考え方、気の持ち方など、おもにメンタル面での工夫が語られています。

 「僕は、生きる力とは、成功を続ける力ではなく、失敗や困難を乗り越える力だと考えます」(p.8)。「生きていくことと「悩み」は切っても切り離せません。仕事に悩み、受験に悩み、対人関係に悩み、容姿に悩み……」(p.9)「僕も人並みに悩みます。苦しみます。失敗します。けれども、そこで挫けたり、逃げ出したりはしない。悩みや苦しみ、失敗や逆境をどう糧にしていくか」(p.11)。

 スーパースターだから悩みなどあまり無いのかなと思っていましたが、悩みを乗り越える力があるからこそ松井選手は偉大なのだと、本書を読んで知ることができました。

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清原の恫喝

 また脅迫、恫喝ですか、清原さん。先日の日本ハム戦でダルビッシュから手に死球を受けた清原が「無差別報復宣言」を行いました。

 「(平沼にバットを投げて以来)18年間我慢したけど、僕も大切なものを守らなければならないと強く思った。今度出たときは故意にしろ、故意でないにしろ、僕は守りたいものを命がけで守りたい。そういうことがあれば、命懸けでマウンドに走っていき、そいつを倒したい。いろんな非難、制裁を受けるだろうが、より大切なものを守りたい」

 前々から一言申し上げたいと思っていましたので、この際言わせていただきます。まず第一に、清原はよけるのが下手。先日の死球もバッターボックスのライン上に来た球でした。よける技術を身に付けるのも好打者の条件です。

 そして最も心配するのが「報復発言」です。(球場を出る時)「タクシーの前で涙を蓄えて見送ってくれた」息子さんを「守るため」に、死球を与えた投手を倒す。とんでもない論理です。死球に激怒してマウンドに駆け上がる姿をみて、息子さんが喜ぶはずがありません。プロ野球選手なら、少々の厳しい球にも涼しい顔をして、来た球を打ち返す。バットで貢献してチームを優勝へ導く姿を子供に見せることこそが、父親としての役目であり、家族を守ることになると思います。相手投手を恫喝してインコースに投げさせない、長い間の常套手段はみっともない。乱闘ではなく打撃で有終の美を飾ってください。

 

 

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WBC 決勝戦を振り返って

 この世の中で最もおもしろいスポーツは野球だ、と全世界の人々に胸を張って押し付けたい、そんな気持ちにさせる一日でした。王JAPAN、優勝ありがとう!

 韓国との大接戦、誤審、奇跡的な準決勝進出。曲折を経て迎えた決勝戦は、地力で勝る日本が優勝しました。松坂は調子が悪いなりの投球ができました。世界一を引き寄せた西岡のプッシュバントは、野球の魅力を全世界に知らしめるだけの価値があるプレーでした。

 キューバはパワーもあり、素晴らしいチームでした。特に渡辺俊介に対する徹底した逆方向への打撃は見事でした。ただ、外野手の送球があまりにもお粗末でした。次回は捕球から送球にかけての技術を向上して臨んで欲しいと思います。

 このキューバの数少ない弱点を見事についた日本の野球は世界一にふさわしかった。9回表の川﨑、イチローの走塁は、1アウトでもあるし、普通なら三塁ストップかなと思わせるタイミングでした。ところが、三塁コーチの辻は躊躇なくゴーでした。次の松中のタッチアップを見て私は感じました。あぁ、辻は確信を持ってまわしてるな。キューバの外野守備を考えれば間違いなくセーフになる、ギャンブルではなく根拠のあるプレーだったのです。巨人対西武の日本シリーズ、クロマティーへのセンター前ヒットで1塁走者の辻がホームインしたシーンを思い出しました。その判断を確実に得点に結びつけた川﨑とイチローの走塁は、まさにプロ、しびれました。

 王さんは、日本代表監督にふさわしい人物でした。イチローが言っていましたね。「王監督には品格がある。僕らはそれを見習わなきゃいけない」。品格という言葉がぴったりの王監督、本当にありがとうございました。

 イチローのリーダーシップも見逃すわけにはいきません。士気を高めるため、あえて過激な言葉を使いチームを牽引したイチローを、改めて褒めたいと思います。陰ながらチームを支えた宮本の貢献も大きかったはず。あのレフト前タイムリー、感動しました。

 さあ、これから野球を全世界に広めなければなりません。野球の魅力を伝えなければなりません。20世紀がサッカーの世紀であったとすれば、21世紀は野球の世紀になります。この夢を実現するためには、国という枠組みは大切にしながらも、ワールドワイドに戦線を拡大する必要があります。アジアチャンピオンと南北アメリカチャンピオンが対戦する真のワールドシリーズの開催を、私は心から提唱したい。この希望に近づくきっかけを与えてくれたのが、紛れもなくWBCであったと思います。

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WBC 韓国に勝つ方法

 奇跡的に準決勝進出を果たした日本が、韓国に勝つ方法を検討してみたいと思います。まず、今までの韓国の戦いを分析しているかどうか。韓国バッテリーの配球の傾向、打者の特徴など、最低限の調査を行い試合に反映することが必要です。初戦はともかく、第2戦では勝負どころで明らかな配球ミスがあったことは、前回のブログで述べたとおりです。執念や気合も大事ですが、適切な戦力分析を行い、冷静に勝負してほしいです。さらにもう一方のゾーンにもスコアラーを派遣している周到さがあれば、世界一も夢ではないはずです。

 そして監督の采配も重要です。選手の調子をよく観察し、好調な選手を思い切って起用することが大切です。「この選手はどうしても使わなければならない」といった固定観念は極めて危険です。捕手、サード、センターの選手起用に手腕が問われそうです。また、投手の継投がポイントになります。この試合が最後だと考え、早めの投手起用を求めます。犠打も重要です。イニング、得点差、打者の特性を見極めたうえで、バントを有効活用して欲しいです(たとえば、序盤でのイチローのバントは必要ないと考えます)。

 ミスは許されません。1点を争う接戦でのミスは致命傷です。先日の最大の敗因も岩村の走塁ミスでした。犠打とともに走塁は徹底して欲しいものです。

 これまでの試合を見た限り、戦力面で日本が韓国に劣っているとは思えません。失策ゼロで戦う韓国の集中力がわずかに上回っているくらいでしょう。戦力が互角、あるいはそれ以下だとすれば、思い切った「奇策」が飛び出しても不思議ではありません。幸い日本は一度死にました。完全な挑戦者です。弱者の戦い方で頂点を目指して欲しいです。頑張れ!日本!

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WBC 韓国戦の敗因

 素晴らしい試合でしたが負けました。今後のためにもその敗因を検証してみます。直接的には今江の落球と藤川の投球が原因でしょう。しかし、私は小さなミスが勝敗を分けたと思います。

 まず2回2アウトランナー2塁に岩村の場面です。里崎が初球をライト前。相手の返球も抜群でしたが、2アウトであの打球、ホームに帰ってこれないようではレベルが低すぎます。確認していませんが、おそらく、岩村のスタートは少し遅れていたはずです(解説の衣笠さんはこの点を指摘していましたが)。初球、ほんの少しの油断が勝利を遠ざけました。

 そして8回表、杉内の続投に私は疑問を持ちました。今日の杉内は内容があまりよくありませんでした。7回1イニングでよかったのではないでしょうか。アテネオリンピックのオーストラリア戦と同様、継投が遅れました。韓国が投手を次々つぎ込んでいたのとは対照的でした。予選での2イニング好投が頭に残っていたのでしょうか。

 8回表の1アウト2・3塁の場面での藤川の投球。打たれるのは仕方がないとしても、打者はイジョンボム、直球にはめっぽう強い打者です。1塁も空いているし、直球は高めのボール球にして、勝負球はすべてホークでよかった。里崎については、前日からストレートで押す強気のリードが目立っていました。相手打者の特徴を見極め慎重にリードすべきであったと考えます。

 9回裏1アウト1塁で新井、多村。本塁打を狙っていましたが、あの場面は安打を放ち小笠原につなげる打撃を私はしてほしかった。冷静になれませんでしたね。

 本当に残念。悔しい。渡辺の好投を生かすことができませんでした。王監督の指揮もよかった。日本代表の監督にふさわしい方です。来年は今年の経験を生かして、「絶対負けない日本の野球」を世界中に見せてくれると思います。

 韓国も素晴らしいチームでした。特に投手。特長のある好投手がたくさんいました。こんな強い国が隣にあるのだから、アジアの野球の発展が楽しみです。

 WBCに対しては開催前から様々な疑問が投げかけられましたが、とにかく実施してみて問題点を検証して次回につなげるという意味でも、きわめて有意義であったと思います。もしアジアチャンピオンとワールドシリーズ優勝チームが秋に対戦する真のワールドシリーズが開催されるのなら、WBCがこの時期に開催されてもいいかもしれませんね。

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