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「受験勉強は役に立つ」(1)

 和田秀樹『受験勉強は役に立つ』(朝日新書)を読みました。和田さんは、受験勉強を通じて生きていく力を養うことは可能だと主張しています。

 和田さんは、受験勉強によって身につく学力を「コンテンツ学力」と「ノウハウ学力」に分けて考えることによって、受験勉強に対する様々な批判や「神話」を検証し、受験勉強がむしろ多様な能力を育むと述べています。

 荒瀬克己『奇跡と呼ばれた学校』が新しい高校教育のあり方を提示した一方で、本書は、従来から行われてきた受験勉強でも生きる力を十分獲得することができると指摘しています。2冊を読むことによって、高校教育の現状と今後歩むべき方向性が見えてきます。

 またこの2冊を出版し、異なる2つの教育論を提示した朝日新聞社にも敬意を表したいと思います。

 今回の和田さんの著書は、従来出版されてきた内容と重複している部分が多いので、斬新な視点を望まれる読者には不満が残るかもしれませんが、『能力を高める受験勉強の技術』(講談社現代新書)などとあわせて読めば、本書の主張がより明確に理解できると思います。

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「奇跡と呼ばれた学校」(7)

 堀川高校には、高度な教育内容を支える様々な支援体制が整っているといえます。たとえば、国が指定したスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校になり、国の予算を有効に活用して、自然科学分野の教育を行うことができます。

 SSH予算によって「高度な実験機器の購入や、大学院生のティーチングアシスタント(TA)を雇い入れることが可能になった」(p.121)そうです。

 このTAは、高校教育現場にとってきわめて魅力的な制度です。研究活動への助言だけでなく、「生徒の相談役」にもなってくれるのです。大学生活を通じて様々な経験を積んだ大学院生のアドバイスは、高校生の研究意欲を刺激し、将来の夢や目標を掲げるきっかけになるはずです。

 また、学術顧問の先生から研究成果の評価も受けているそうです。井村裕さん、日高敏隆さん、稲盛豊実さん、中坊公平さん、山折哲雄さんなど、京都在住の著名人が就任しています(p.121)。

 このように、堀川高校は魅力的な研究支援制度が整っています。システムをここまで作り上げた関係者の尽力は大変なものだったと思われますが、公立高校の場合、一度高い評価を得られれば、多方面から強力なバックアップが得られる、ということもいえるでしょう。

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チームプレーの基本

PL学園高校の元監督、中村順司さんが数年前、日刊スポーツで書かれていたコラムを思い出します。

 「試合に負けるのは監督の責任だが、試合中、選手が負わなければならない責任が4つある」                                                ①サインの見落としはするな。                                     ②犠打は確実に決める。                                      ③全力疾走を怠るな。                                         ④全員で声をかけ合い、励ましあうこと。 

 この4点については中村先生の著書『中村順司の野球はうまくなる!』(宝島社新書、2001年)の108~111ページでも述べられています。この4点がおろそかにされれば、いかなる強豪といえども甲子園出場は難しいでしょう。

 すべてが「チームプレーの基本」であると言えますが、私が最も重視しているのは④です。特に、チームが逆転されたあと、客観的に状況を踏まえた声がしっかり出せるかどうか。それがチーム力なのです。

 トーナメントを戦う中で必ず一度は訪れる大接戦で勝利するためには、投手力、守備力、打力、走力のほかに、この「見えない戦力」が必要なのです。

 まもなく夏の選手権地方大会が本格的に始まります。それぞれのチームには「それぞれのストーリー」があります。各チームが持てる力をすべて発揮し、それぞれのストーリーを完成して欲しいと思います。

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